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Verifiable Credentials 用語集

VC 関連の専門用語を解説します。用語がわからなくなった時に参照してください。


基本用語

Verifiable Credential(VC)

読み方: ベリファイアブル・クレデンシャル

意味: デジタル署名が付いた検証可能な証明書。発行者に問い合わせなくても、署名を検証することで本物かどうか確認できる。

例: デジタル運転免許証、デジタル卒業証明書

┌─────────────────────────────────┐
│ Verifiable Credential │
│ │
│ 内容: 「山田太郎は21歳以上」 │
│ 発行者: 公安委員会 │
│ 署名: ✅ (発行者のデジタル署名) │
└─────────────────────────────────┘

Verifiable Presentation(VP)

読み方: ベリファイアブル・プレゼンテーション

意味: 1つ以上の VC を検証者に提示するためのコンテナ。保持者の署名が付く。

例: 複数の VC をまとめて提示する時に使う

┌─────────────────────────────────────────┐
│ Verifiable Presentation │
│ │
│ ┌─────────────┐ ┌─────────────┐ │
│ │ VC: 運転免許 │ │ VC: 卒業証明│ │
│ └─────────────┘ └─────────────┘ │
│ │
│ 提示者: 山田太郎 │
│ 署名: ✅ (提示者のデジタル署名) │
└─────────────────────────────────────────┘

Issuer(発行者)

読み方: イシュアー

意味: VC を発行する主体。政府、大学、企業など信頼できる機関。

例:

  • 運転免許証 → 公安委員会
  • 卒業証明書 → 大学
  • 従業員証 → 企業

Holder(保持者)

読み方: ホルダー

意味: VC を持っている人。通常は個人。VC をウォレットアプリで管理する。

例: あなた自身


Verifier(検証者)

読み方: ベリファイヤー

意味: VC の提示を受けて検証する主体。サービス提供者など。

例:

  • 居酒屋(年齢確認)
  • 採用企業(学歴確認)
  • 銀行(本人確認)

Wallet(ウォレット)

読み方: ウォレット

意味: VC を保管・管理するアプリケーション。スマートフォンアプリが一般的。

例: スマホの Wallet アプリ、認証アプリ

┌─────────────────────────────────┐
│ 🆔 Wallet アプリ │
│ │
│ 📜 運転免許証 │
│ 📜 卒業証明書 │
│ 📜 社員証 │
│ 📜 資格証明書 │
│ │
└─────────────────────────────────┘

識別子関連

DID(Decentralized Identifier)

読み方: ディー・アイ・ディー、分散型識別子

意味: 中央機関に依存しない識別子。自分で生成・管理できる。

例: did:web:example.com, did:key:z6MkhaXgBZD...

従来の識別子との違い:

識別子管理者
メールアドレスメールプロバイダuser@gmail.com
電話番号通信キャリア090-xxxx-xxxx
DID本人did:example:123

DID Document

読み方: ディー・アイ・ディー・ドキュメント

意味: DID に紐づくメタデータ。公開鍵やサービスエンドポイントを含む。

{
"id": "did:example:123",
"authentication": [{
"id": "did:example:123#key-1",
"publicKeyJwk": { ... }
}]
}

DID Method

読み方: ディー・アイ・ディー・メソッド

意味: DID の作成・解決方法を定義する仕様。

主なメソッド:

メソッド説明
did:webWeb ドメインを使用
did:key公開鍵から導出
did:ionBitcoin ベース
did:ethrEthereum ベース

選択的開示関連

Selective Disclosure(選択的開示)

読み方: セレクティブ・ディスクロージャー

意味: VC に含まれる情報のうち、必要なものだけを開示する機能。

例:

運転免許証の VC に含まれる情報:
- 氏名
- 住所
- 生年月日
- 免許種別
- 21歳以上か

年齢確認時に開示する情報:
- 21歳以上か ← これだけ!

SD-JWT

読み方: エス・ディー・ジェイ・ダブリュー・ティー

意味: Selective Disclosure for JWT。選択的開示機能を持つ JWT。

特徴:

  • JWT をベースにしている
  • 各クレームを個別に開示/非開示にできる
  • IETF で標準化中

Disclosure

読み方: ディスクロージャー

意味: SD-JWT で、開示するクレームの元データ。

SD-JWT の構成:
<JWT>~<Disclosure 1>~<Disclosure 2>~...

Disclosure の中身:
["ソルト", "クレーム名", "値"]
例: ["abc123", "name", "山田太郎"]

フォーマット関連

JWT(JSON Web Token)

読み方: ジョット

意味: JSON 形式のデータを署名付きでエンコードしたトークン。

eyJhbGciOiJFUzI1NiJ9.eyJpc3MiOiJodHRwcy...
└──────┬──────────┘.└──────────┬──────────┘
Header Payload
+ Signature

JSON-LD

読み方: ジェイソン・エル・ディー

意味: JSON for Linked Data。JSON にセマンティック(意味論的)な情報を追加した形式。

特徴:

  • @context でデータの意味を定義
  • 相互運用性が高い
{
"@context": ["https://www.w3.org/ns/credentials/v2"],
"type": ["VerifiableCredential"],
...
}

mdoc / mDL

読み方: エム・ドック / エム・ディー・エル

意味:

  • mdoc: Mobile Document。ISO で定義されたモバイル ID フォーマット
  • mDL: mobile Driving License。mdoc の運転免許証版

特徴:

  • CBOR(バイナリ)形式でコンパクト
  • ISO 18013-5 で標準化
  • NFC/BLE での近接通信に対応

CBOR

読み方: シーボー

意味: Concise Binary Object Representation。JSON のバイナリ版のようなフォーマット。

特徴:

  • コンパクト
  • パース(解析)が高速
  • バイナリデータをネイティブサポート

COSE

読み方: コーズ

意味: CBOR Object Signing and Encryption。CBOR データの署名・暗号化仕様。

関係: JWT : JWS = mdoc : COSE


署名関連

Digital Signature(デジタル署名)

読み方: デジタル・シグネチャー

意味: 秘密鍵を使ってデータに署名する技術。公開鍵で検証可能。

署名の作成:
データ + 秘密鍵 → 署名

署名の検証:
データ + 署名 + 公開鍵 → 有効/無効

Public Key / Private Key(公開鍵/秘密鍵)

読み方: パブリック・キー / プライベート・キー

意味:

  • 公開鍵: 誰でも知ってよい鍵。署名の検証に使う
  • 秘密鍵: 本人だけが知る鍵。署名の作成に使う

Proof

読み方: プルーフ

意味: VC/VP の署名部分。

{
"proof": {
"type": "DataIntegrityProof",
"created": "2024-01-01T00:00:00Z",
"verificationMethod": "did:example:issuer#key-1",
"proofValue": "z3FXQjecWufY46..."
}
}

プロトコル関連

OID4VCI

読み方: オー・アイ・ディー・フォー・ブイ・シー・アイ

正式名称: OpenID for Verifiable Credential Issuance

意味: VC を発行するためのプロトコル。

Wallet ────────► Issuer

│ OID4VCI


VC を取得

OID4VP

読み方: オー・アイ・ディー・フォー・ブイ・ピー

正式名称: OpenID for Verifiable Presentations

意味: VC を提示・検証するためのプロトコル。

Wallet ────────► Verifier

│ OID4VP


VC を検証

SIOP v2

読み方: エス・アイ・オー・ピー・バージョン・ツー

正式名称: Self-Issued OpenID Provider v2

意味: 自己発行の ID トークンを使った認証プロトコル。


失効関連

Revocation(失効)

読み方: レボケーション

意味: 発行済みの VC を無効にすること。

例: スマホを紛失した時に VC を失効させる


Status List

読み方: ステータス・リスト

意味: VC の失効状態を管理するリスト。ビットマップ形式で効率的に管理。

Status List:
[0, 0, 1, 0, 0, 1, 0, ...]
↑ ↑
失効済み 失効済み

認証関連

Key Binding

読み方: キー・バインディング

意味: VC/VP が特定の鍵(デバイス)に紐づいていることを証明する仕組み。

目的: 盗まれた VC を他のデバイスで使えないようにする


Holder Binding

読み方: ホルダー・バインディング

意味: VC が特定の保持者に紐づいていることを証明する仕組み。


規格・標準

W3C

読み方: ダブリュー・スリー・シー

正式名称: World Wide Web Consortium

役割: VC Data Model、DID Core などを標準化


IETF

読み方: アイ・イー・ティー・エフ

正式名称: Internet Engineering Task Force

役割: SD-JWT、OAuth 関連仕様を標準化


ISO

読み方: アイ・エス・オー

正式名称: International Organization for Standardization

役割: mdoc/mDL(ISO 18013-5)を標準化


OpenID Foundation

読み方: オープン・アイディー・ファウンデーション

役割: OID4VCI、OID4VP、SIOP v2 を標準化


関連用語

eIDAS 2.0

読み方: イー・アイダス・ツー・ポイント・オー

意味: EU のデジタル ID 規則。EU Digital Identity Wallet で VC を使用。


SSI(Self-Sovereign Identity)

読み方: エス・エス・アイ、自己主権型アイデンティティ

意味: 個人が自分の ID を自ら管理する考え方。VC/DID はその実現手段。


Decentralized Identity

読み方: ディセントラライズド・アイデンティティ、分散型アイデンティティ

意味: 中央機関に依存しない ID システム。SSI とほぼ同義。


Wallet as a Service

読み方: ウォレット・アズ・ア・サービス

意味: ウォレット機能をクラウドサービスとして提供するモデル。


略語一覧

略語正式名称意味
VCVerifiable Credential検証可能なクレデンシャル
VPVerifiable Presentation検証可能なプレゼンテーション
DIDDecentralized Identifier分散型識別子
SD-JWTSelective Disclosure JWT選択的開示 JWT
mDLmobile Driving Licenseモバイル運転免許証
OID4VCIOpenID for Verifiable Credential IssuanceVC 発行プロトコル
OID4VPOpenID for Verifiable PresentationsVC 提示プロトコル
SIOPSelf-Issued OpenID Provider自己発行 OP
SSISelf-Sovereign Identity自己主権型アイデンティティ
KYCKnow Your Customer本人確認
CBORConcise Binary Object Representationバイナリ形式
COSECBOR Object Signing and EncryptionCBOR 署名/暗号化